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世界各地の補習授業校(補習校)と教科書の無償給与手続きガイド

補習授業校(いわゆる補習校)は、通常は現地の日本人コミュニティによって設立される海外の非全日制の日本の学校であり、平日は現地校やインターナショナルスクールに通う子どもたちに対し、日本の教科書を用いて国語と、学校によっては算数・数学を教えています1。文部科学省(MEXT)は、2026年4月1日時点で世界に246校があるとしており(2026年10月時点)、海外に長期滞在する義務教育段階の日本国籍の子どもは、日本の教科書を無償で受け取ることができます23。日本語と算数・数学の学習を続けたいご家庭に向けて、本ガイドでは日本の法令や制度が定める事項と、各学校が独自に決める事項を分けて解説します。

補習授業校とは何か:概要と対象・要件の枠組み

Section titled “補習授業校とは何か:概要と対象・要件の枠組み”

補習授業校と日本人学校の違いを一段落で

Section titled “補習授業校と日本人学校の違いを一段落で”

文部科学省の定義では、補習授業校とは、現地校やインターナショナルスクールに通う日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して、日本の小学校または中学校の教育課程の一部の教科を日本語で教える施設です1。外務省(MOFA)は、現地の学校の授業がない土曜日、日曜日や放課後に授業が行われると説明しているため、正確にまとめると「大半が土曜日、一部が放課後や日曜日」となります42。最初の補習授業校は1958年にワシントンD.C.で開校しました1。

日本人学校は性質が異なります。日本人学校は文部科学大臣の「認定」を受けた全日制の学校であるのに対し、補習授業校は支援の対象として外務大臣の「指定」を受ける施設であり、日本の学校としての資格は付与されません4。全日制の日本人学校、インターナショナルスクール、現地校の選び方については、海外での子どもの学校選びのガイドで解説しています。本記事は非全日制のルートのみを扱います。

2022年の法律と外務省による政府支援の対象指定

Section titled “2022年の法律と外務省による政府支援の対象指定”

在外教育施設における教育の振興に関する法律(令和4年法律第73号)は2022年6月17日に施行され、これまで改正されていません5。同法第2条第2項は、在外教育施設を2種類に分けて定義しています。文部科学大臣が告示する日本の学校と同等の施設と、日本の学校の教育課程の一部に相当する教育を行い、外務大臣が定める基準に適合する施設です5。補習授業校は後者に該当します5。

令和4年8月29日付の外務省告示第303号がその基準を定めており、補習授業校の設置者が現地の日本大使館または総領事館を通じて申請すると、外務大臣が政府支援の対象として指定できます6。外務省自身の説明では、法律上の補習授業校とは、同告示の基準を満たして指定を受けた施設を指します4。告示第1条は、相手国の特殊な事情による例外を設けたうえで、次の8つの基準を定めています6:

  1. 小学校または中学校の教育課程の一部を実施し、年間概ね35日以上、国語を中心とする授業を行っていること。
  2. 主として在留邦人の福利のために組織された団体またはこれに準ずる団体によって設立されたものであること。
  3. 外国籍のみを有する者を除く在籍児童生徒数が概ね5名以上であり、かつ増加が見込まれること。
  4. 2以上の企業・団体に勤務する者の子どもが在籍していること。
  5. 一の営利企業によって運営されているものでないこと。
  6. 十分な教員を確保していること。
  7. 運営に関する規程が整備されていること。
  8. 申請年度の4月15日時点で授業が実施されていること。

外務省の補足説明はさらに詳しく定めています。「授業」とは文部科学省の学習指導要領に沿い、文部科学省の検定済教科書を用いて行う指導を指し、設置団体は現地法令上、非営利の形態をとる必要があり、運営規程には教育課程、入学、授業料などの事項を定める必要があります4。告示第5条により、基準を満たさなくなった場合は指定が取り消されることがあります6。

外務省による支援は3つの項目を対象としています。告示第4条に基づき、校舎の借料、現地採用講師の謝金、警備費が対象となります6。外務省はいずれも一部支援と説明しています4。週末の日本語教室がすべて指定されているわけではなく、この政府支援を受けられるのは認定または指定を受けた施設のみです4。

指定の募集は外務省が公示します。令和8年度(2026年度)の募集は2026年6月19日に公示され、申請は管轄の在外公館を通じて同公館が定める期限までに行い、この回で指定された学校への支援は2027年4月以降に開始される見込みです(2026年10月時点)7。文部科学省と外務省が2023年4月に共同で策定した基本方針は、海外の日本人の子どもの学びの保障、国内と同等の学びの環境、在外教育施設ならではの教育という3つの方向性を掲げています8。

大半の補習授業校は保護者と在留邦人によって運営されています。設置者は通常、現地の日本人会またはこれに類する非営利団体であり、運営委員会によって運営されます61。授業料、諸費用、入学条件は各校の規程で定められているため、本ガイドでは費用を記載していません4。

文部科学省の派遣教員が配置されるのは一部の補習授業校のみです。2023年12月最終更新で本文が2011年4月のデータに基づく文部科学省の公表資料によると、派遣教員は在籍者100名以上の大規模な補習授業校(中核となる教員として配置され、通常は学級を担任しない)と、準全日制の補習授業校(児童生徒の指導も行う)に派遣されます9。この記述は古いため、派遣教員がいるかどうかは学校にご確認ください。文部科学省によると、2025年4月15日時点の派遣教員は日本人学校と補習授業校を合わせて1,319名で、任期は原則2年です(2026年10月時点)108。

派遣教員のいない学校は現地採用の講師に頼っています。文部科学省は、これらの講師向けの研修を行う派遣教員の旅費を負担し、国語および算数・数学の補習授業校向け指導資料を公表し、在外教育の経験者を派遣して各補習授業校の個別の課題について助言しています811。また、海外子女教育振興財団(JOES、文部科学省の補助を受ける公益財団法人)が実施する教材整備事業に補助を行っており、2024年度からは補習授業校などの在外教育施設の高等部も対象となっています812。

高等部への支援は分かれています。文部科学省のQ&Aは、現在も支援の対象を小学部・中学部としており、教科書の無償給与は義務教育段階のみで、指定基準も小学校・中学校の教育課程を対象としています13146。JOESの教材整備補助は補習授業校の高等部にも及びますが、在外教育施設の高校生への就学支援は文部科学大臣が認定または指定した全日制の6施設のみが対象で、そのいずれも補習授業校ではありません(2026年10月時点)1215。

文部科学省によると、2026年4月1日時点で補習授業校は246校、日本人学校は90校、日本の学校法人が設置した施設は6校です(2026年10月時点)2。2025年4月15日時点の在籍者数は、長期滞在者の義務教育段階の児童生徒のみを数えると、補習授業校が21,047名、日本人学校が15,680名です(2026年10月時点)10。公表されている最新の国別集計は、2024年7月1日時点で51か国1地域に242校です(2026年10月時点)1。

地域 補習授業校数(2026年4月1日) 補習授業校の在籍者数(2025年4月15日)
北米 89 12,524
欧州 78 5,254
アジア 27 1,489
大洋州 26 1,319
中南米 13 276
アフリカ 7 185(中東とアフリカの合計)
中東 6 (上記に含む)
合計 246 21,047

出典:文部科学省の2026年版資料集、資料1および資料3(2026年10月時点)10

学校を探すには、まず外務省の学校紹介ページと、指定補習授業校の一覧PDFを確認してください。前者は政府の支援を受ける補習授業校を日本人学校や私立在外教育施設と並べて掲載しており、後者は各校の管轄公館を示しています1617。本ガイドで確認できた最新の一覧は2024年6月のものであるため、現在の学校については大使館または総領事館にお問い合わせください。名称はさまざまで、指定校には日本語学校、土曜学校、日曜学校があり、2024年7月1日に指定されたシドニーの日曜学校などがその例です16。

文部科学省による教科書の無償給与:海外で日本の教科書を受け取る方法

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文部科学省による教科書の無償給与は、在外公館を通じて1967年度から、JOESを通じた出国前の給与として1972年度から実施されており、2023年度には約13万7,000名の子どもが受け取りました(2026年10月時点)318。原則として、日本国籍を有し(重国籍者を含む)、海外に長期滞在する予定の義務教育学齢の子どもが対象です3。給与されるのは小学校、中学校、特別支援学校(小学部・中学部)用の文部科学省検定済教科書および文部科学省著作教科書で、全世界共通の1つの一覧から選ばれます。高等学校の教科書は給与されません1419。

永住に関する規定は資料によって異なるため、それぞれを確認してください。令和8年度の出国前の給与要綱は将来永住する予定の子どもを単に対象外としており、JOESも永住予定の子どもは対象外としています1420。文部科学省の在外教育情報ページは、外国の永住権を持つ日本国籍の子どもを対象外としていますが、現地の事情により便宜上永住権を取得した場合や、日本に帰国して日本の中学校または高等学校に進学する意思がある場合は例外としています3。

各大使館・総領事館は独自の条件を追加できます。一例として、在サンフランシスコ日本国総領事館は2026年度後期用の教科書について、管轄区域内に居住していること、日本国籍を有すること、在留届を提出済みであること、日本に帰国して進学または就職する意思があること、小学1年生から5年生であることを条件としていました(2026年10月時点)21。JOESは、現地到着後に在留届を提出し、教科書の受け取り方法を確認するよう案内しています。在留届については海外での領事サービスと緊急支援のガイドで解説しています22。

ルート1:出国前にJOESを通じて受け取る

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令和8年度の出国前の給与要綱(2026年3月23日決定、2026年4月1日から2027年3月31日まで適用)は、海外に1年以上滞在するために出国する義務教育学齢の日本国籍の子どもを対象とし、保護者の申請に基づいて給与します14。2027年4月に小学1年生になる子どもで2026年12月以降に海外に到着する場合も対象に含まれますが、日本ですでに受け取った教科書は対象外であり、2027年3月1日以降に到着する場合の2026年度用教科書も対象外です。ただし、特別な理由がある場合は文部科学省が例外を認めることがあります14。

申請は、様式1-1(特別支援学校用教科書は様式1-2)に「転学児童生徒教科用図書給与証明書」の原本を添えてJOESに提出します。この証明書は、子どもが通う日本の学校の校長が発行します1423。この証明書を添付できず、日本で教科書を受け取っていない場合は、教育委員会の証明書で代えることができます。日本国内のインターナショナルスクールに通う子どもは、地元の教育委員会にご相談ください1422。文部科学省が給与を決定し、JOESが教科書を引き渡します。申請と受け取りはどちらも郵送で行えます14。

実務の詳細はJOESが公表している規定で定められています(2026年10月時点)。申請は出国の2か月前から受け付けられ、申請書はJOESのマイポータルでアカウントを作成すると出力でき、書類はメールではなく郵送で提出し、教科書は出国日の順に、原則として出国の2週間前までに発送されます23。1月から3月と5月から7月は繁忙期であり、東京の窓口で受け取ることもできます2322。

教科書は無償ですが、配送は有料です。JOESは、子どもの人数にかかわらず1家族につき一律2,000円の送料・梱包手数料を請求しており、これは2024年4月1日以降の受付分から1,800円より引き上げられたものです。東京の窓口で受け取る場合は支払いは不要です(2026年10月時点)2322。JOESが給与するのは、在外用教科書の発行者がお子さまの使用中の教科書と異なる教科のみであるため、発行者が同じ教科書は日本から持参してください2322。

入荷時期に注意が必要です。小学校の後期用(下巻)はJOESに6月中旬頃に入荷し、翌年度の前期用(上巻)と中学校用は11月中旬から12月上旬に入荷します14。2026年度の小学1年生から5年生の後期用は2026年6月10日から配付され、2026年10月2日時点で2027年度用は未入荷でした。JOESによると、海外での翌年度分の申し込みは通常10月頃に締め切られるため、その後に出国する家庭は、翌年度分を出国前に受け取れるかどうかを確認してください(2026年10月時点)24。

JOESが給与するのは原則として当該年度分のみです。ただし、1月頃から4月の休みまでに出国する場合は翌年度分も給与されます22。紛失した教科書は再給与されず、転居が中止になった場合は教科書を返却しなければなりません22。

ルート2:到着後に大使館・総領事館を通じて受け取る

Section titled “ルート2:到着後に大使館・総領事館を通じて受け取る”

各在外公館は対象となる子どもの数を文部科学省に報告し、文部科学省が発行者から教科書を購入して、前期用と後期用の年2回に分けて在外公館に送付します318。補習授業校などの在外教育施設に在籍する子どもはその施設から、在籍していない子どもは在外公館から教科書を受け取ります3。申込期間と受け取り方法は各公館が定めます。

在サンフランシスコ総領事館の2026年度後期用の案内はあくまで一例です。対象は小学1年生から5年生、子ども1名につき1セット、郵送での申請で送料として子ども1名につき25米ドルのマネーオーダーを同封、申請書の必着期限は2026年5月18日、自宅への配送は2026年9月下旬以降とされていました(2026年10月時点)21。この25米ドルは配送料であり、教科書の代金ではありません21。

申込期間を過ぎた場合や、教科書を受け取らずに日本を出国した場合は、JOESではなく管轄の在外公館を通じて「教科書追加送付申請」を行います25。教科書は引き続き無償ですが、送料と手数料は自己負担で、金額はメールで提示されます。施設による一括申請には異なる条件が適用される場合があり、国をまたいで転居する家庭は転居先の在外公館に申請します25。

flowchart TD
    A["日本国籍の義務教育学齢の子ども(海外に長期滞在)"] --> B{"出国前か、到着後か?"}
    A --> X["対象外:外国籍のみ、永住(文部科学省の例外に該当する場合を除く)、高校生"]
    B -->|"出国前"| C["日本の学校から証明書を取得"]
    C --> D["JOESへ申請(マイポータルの申請書、郵送または窓口)"]
    D --> E["文部科学省が決定、JOESが郵送(1家族2,000円)または窓口受取(無料)"]
    B -->|"到着後"| F["在留届を提出、在外公館が需要を調査"]
    F --> G{"補習授業校などの施設に在籍しているか?"}
    G -->|"はい"| H["施設を通じて受け取る"]
    G -->|"いいえ"| I["在外公館の窓口で受け取る"]
    I --> J["申込期間を過ぎた場合:追加送付申請(配送料は有料)"]
    E --> K["当該半期分の教科書"]
    H --> K
    I --> K
    J --> K

補習授業校の教育内容:国語が中心、算数・数学は実施校のみ

Section titled “補習授業校の教育内容:国語が中心、算数・数学は実施校のみ”

国語が中核の教科です。文部科学省によると、施設によっては日本で使われている教科書を用いて算数・数学、理科、社会も教えており、指定基準は年間概ね35日以上、国語を中心とする授業を行うことを求めています61。

算数・数学を教えるかどうかは施設によります1。文部科学省の補習授業校教員向け指導資料は国語と算数・数学のみを扱っており、2020年度(小学校)と2021年度(中学校)から実施されている学習指導要領に基づいています11。算数・数学を教える補習授業校の数や週当たりの授業時間を示す公的な数値はないため、学校に直接ご確認ください。

さらに幅広い教育を行う補習授業校もあります。日本人学校と同様の授業時間や教科で運営する準全日制の学校や、幼稚部や高等部を設ける学校もありますが、これらは学校ごとの取り組みです19。補習授業校は日本の学校よりはるかに少ない日数で日本の教科書を使うため、宿題や家庭での音読・読書をどの程度求めるかを確認してください。

国による入学の規則や入学試験はありません。指定を受けた補習授業校は入学、退学、転学、定員、授業料を定めた学校規程を備える必要があるため、条件は学校ごとに異なります4。面接、日本語力の確認、学年の決定、保護者の当番などはいずれも学校の規程によるものと考え、出願前に規程をお読みください。

外国籍のみを有する子どもは、日本の規則によって排除されてはいません。告示第303号は、外国籍のみを有する者以外の児童生徒だけを5名の基準に算入しますが、それ以外の児童生徒を排除するものではありません6。2022年の法律第13条第2項は、国際交流の一環として、日本国籍を有しない子どもを施設が自主的に受け入れることを奨励しています5。

日本語の支援が必要な子どもへの支援は公的な方針です。2023年の基本方針には、日本語指導を必要とする外国籍家庭や国際結婚家庭の子どもへの支援が含まれています8。各学校が継承日本語クラス、空き待ちのリスト、クラス分けテストを設けているかどうかはその学校に確認する事項であるため、早めに問い合わせてください。

「二重の負担」:現地校と土曜日の補習授業校の両立

Section titled “「二重の負担」:現地校と土曜日の補習授業校の両立”

補習授業校は現地の学校が休みの日に授業を行うため、補習授業校に通う子どもは実質的に2つの時間割と2つの宿題をこなすことになります4。週末のスポーツ、音楽、現地の試験準備も同じ日に重なります。家庭がこの負担をどのように管理しているかについての公的なデータはないため、以下は実務上のヒントとしてのみ参考にしてください。

早めに双方の教員と話し合いましょう。補習授業校には、現地での用事で授業日を欠席する子どもへの対応を、現地校には、補習授業校の日が試合や試験と重ならないかを確認してください。

負担を減らすことも選択肢です。全体の負担が大きくなりすぎた場合は、学校が設けていれば負担の軽いクラス、無償給与の教科書を使った家庭学習、または後述するJOESの講座といった選択肢があり、JOESはこの講座を日本の教育課程の基礎的な学習を続ける方法として紹介しています2627。滞在国の言語の習得は別のテーマであり、海外移住前の外国語学習の準備のガイドで解説しています。

コミュニティ:日本人家庭と国際家庭の拠点としての補習授業校

Section titled “コミュニティ:日本人家庭と国際家庭の拠点としての補習授業校”

補習授業校は、その成り立ちからしてコミュニティの組織です。外務省の基準は、在留邦人の福利のために組織された団体が設立し、運営委員会が運営することを想定しているため、保護者が委員を務めたり学校運営を手伝ったりするよう求められることがあります6。

安全も枠組みの一部です。2022年の法律第12条と基本方針は、在外公館から施設の職員を含む在留邦人への安全情報の提供を定めており、外務省の指定校への支援には警備費が含まれています548。

近くに補習授業校がない場合:通信教育とオンラインの選択肢

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JOESの通信教育:理科・社会のみ

Section titled “JOESの通信教育:理科・社会のみ”

文部科学省の立場は、日本人学校や補習授業校がない地域では、義務教育の教科書を無償で給与し、JOESが実施する通信教育に補助を行うというもので、この補助は1972年度から続いています1113。ただし、現在の補助対象の講座は、この説明から想像されるよりも範囲が限られています。

JOESが公表している規定によると、文部科学省の補助を受ける講座は小学3年生から中学3年生を対象とした「理科・社会コース」です(2026年10月時点)2627。日本の教科書に準拠した基礎的なレベルのインターネット動画、印刷用ノート、確認テストを用いるもので、添削はなく、受講料はプランにより年間14,760円から19,680円です2728。JOESの現在の講座一覧には国語や算数・数学の講座はなく、講座は海外に住む日本人の子どもや一時帰国中の日本人の子どもを対象とすると説明されています2628。

JOESは低年齢の子ども向けの配本サービスも行っています。0歳から6歳向けの「幼児コース」と小学1・2年生向けの「児童書コース」があり、料金はそれぞれ地域によって異なります(2026年10月時点)26。これらは文部科学省の補助事業とは表示されておらず、JOESは一部の国への配送を現在停止しているとしています26。

民間のオンライン日本語学校と家庭教師

Section titled “民間のオンライン日本語学校と家庭教師”

民間のオンライン日本語授業や家庭教師は、いずれの政府の制度にも含まれません。JOESも、JOES以外のサービスはそれぞれ独自の条件を定めているとしています28。利用を検討する場合は、日本の検定教科書に沿っているか、授業時間が居住地の時間帯に合っているか、子どもの安全をどのように守っているかを確認してください。本ガイドでは事業者名の紹介や順位付けは行いません。

無償給与の教科書を使った家庭学習

Section titled “無償給与の教科書を使った家庭学習”

教科書の受給資格は補習授業校への在籍を条件としていません。施設に在籍していない子どもは在外公館から教科書を受け取り、文部科学省は学校がない地域での学習の基礎として教科書を位置づけています313。JOESは、海外から後で取り寄せると送料と時間がかかるため、現地校やインターナショナルスクールにのみ通う場合でも、出国前に教科書を受け取るよう勧めています22。

文部科学省の補習授業校向け指導資料(国語、算数・数学)は公開されたPDFであり、教員向けに書かれていますが保護者も読むことができます11。検索で見つかることがあるAG5のサイトは、JOESが2015年から2021年まで運営した学校・教員向けプロジェクトのアーカイブであり、家庭向けの家庭学習サービスではありません1129。

行政手続きの手順とタイムライン

Section titled “行政手続きの手順とタイムライン”

日程は2026年10月時点のJOESおよび在外公館の運用に基づきます。各手順は記載の機関にご確認ください。

時期 手順 公的な根拠
出国6〜3か月前 外務省の学校紹介ページと指定校一覧で政府の支援を受ける補習授業校を確認し、学校の入学と費用に関する規程を読み、管轄の在外公館に現在の学校を問い合わせる 外務省1617
出国2か月前 日本の学校に教科書の証明書を依頼する。JOESは出国の2か月前から申請を受け付ける JOES23
出国2〜1か月前 JOESのマイポータルでアカウントを作成し、申請書を印刷して書類を郵送するか、東京の窓口へ行く(予約は任意)。配送の場合は1家族2,000円を支払う JOES2322
10月頃以降の出国 翌年度分の教科書が入荷しているかをJOESに問い合わせる JOES24
出国時 教科書は船便に入れず持参する JOES22
到着時 在留届を提出し、在外公館で教科書の受け取り方法を確認する(在籍している場合は補習授業校経由) 文部科学省、JOES322
春と秋 在外公館の申込期間を確認する(例:サンフランシスコでは後期用の期限が2026年5月18日) 総領事館の案内21
申込期間を過ぎた場合 在外公館で追加送付を申請する。配送料は有料 JOES25

企業の海外赴任に限らず、どのような理由で日本を出国する家庭も、条件を満たせば出国前の給与要綱の対象となります14。勤務先による子どもの教育支援については、駐在と現地採用の雇用契約のガイドで解説しています。

日本国籍者と外国籍住民:重要な相違点

Section titled “日本国籍者と外国籍住民:重要な相違点”

教科書の受給資格は国籍で決まり、入学は学校が決めます。次の表は、引用した資料に基づく規定をまとめたものです。

子どもの区分 教科書の無償給与(JOESおよび在外公館) 外務省の5名基準への算入 補習授業校への入学 JOESの講座
日本国籍、1年以上滞在 対象(両ルートとも)143 算入される6 学校の規程による4 対象26
日本国籍を有する重国籍者 日本国籍を有する間は対象3 算入される6 学校の規程による4 対象26
永住予定または外国の永住権を持つ日本国籍者 出国前:永住予定の場合は対象外。在外公館:永住権保持者は文部科学省の例外に該当しない限り対象外。各公館が条件を追加する場合あり14321 算入される6 学校の規程による4 JOESの規定を確認26
外国籍のみ(例:日本に住む外国籍住民の子ども) 対象外3 算入されないが、排除はされない6 学校の裁量による54 日本人の子ども向けと説明26

重国籍の子どもは、文部科学省の規定が重国籍を明示的に含めているため、教科書の給与対象となります3。子どもがいつまで日本国籍を保持できるかについては、日本人の子どもの重国籍と国籍選択のガイドで解説しています。

子どもを連れて出国する日本在住の外国籍住民は、教科書に関するすべての資料が日本国籍を要件としているため、外国籍のみを有する子どもは日本の学校で学んでいたとしても制度の対象外となる点に注意してください143。それでも補習授業校に出願することはでき、受け入れるかどうかは学校が決めます56。

よくある落とし穴とコンプライアンス上のリスク

Section titled “よくある落とし穴とコンプライアンス上のリスク”
  • 補習授業校を公立の学校だと思い込むこと:補習授業校は地域のコミュニティが設立したもので、外務省は一部を指定し、費用の一部を支援しています64。
  • 補習授業校への通学を日本の学校教育と同じものとして扱うこと:補習授業校は文部科学省の認定ではなく指定を受けた施設であり、日本の学校としての資格はありません4。
  • JOESの教科書を受け取らずに日本を出国すること:JOESによると、現地の学校や在外公館は新たに到着する子ども向けの教科書を保管していません22。
  • 日本ですでに受け取った教科書や、先の年度の教科書を期待すること:前者は対象外で、後者は限られています1422。
  • 外国籍のみの子どもも対象になると思い込むこと:日本国籍が必要です3。
  • 2,000円や25米ドルを教科書の代金と受け取ること:いずれも送料・手数料です2321。
  • 教科書を船便で送ること:JOESは破損や紛失のおそれがあると注意しており、紛失した教科書は再給与されません22。
  • JOESの通信教育で国語や算数・数学を学べると思い込むこと:補助対象の講座は理科と社会です2627。

家族・子どもの教育と二拠点生活

基礎知識と全体戦略・日本出国時の行政手続き


  1. 文部科学省, 在外教育施設の概要(CLARINET), 2026年10月確認, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/002.htm ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8

  2. 文部科学省, 海外で学ぶ日本の子供たち (2026) 所在地(地図; 学校数は2026年4月1日時点), 2026年5月, https://www.mext.go.jp/content/20260515-mxt_kyokoku-100002004_2.pdf ↩ ↩2 ↩3

  3. 文部科学省, 在外教育情報(CLARINETの目次; 二重国籍および永住権に関する規定を含む教科書の給与対象、在外教育施設経由と在外公館経由の申込み、年二回の配付), 2026年10月確認, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002.htm ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15

  4. 外務省, 海外教育(海外教育に関するページ), 2025年12月16日付, https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/kaigai/kyoiku/index.html (Wayback Machineのスナップショット(2026年6月13日)) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16

  5. 衆議院 / e-Gov, 在外教育施設における教育の振興に関する法律(2022年法律第73号), 2022年6月17日公布・施行, 第1条から第14条および附則, https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/20820220617073.htm (e-Gov法令ID 504AC1000000073, https://laws.e-gov.go.jp/law/504AC1000000073; 改正なし) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

  6. 外務省, 令和4年外務省告示第303号「在外教育施設に対する支援に係る指定等に関する規程」, 2022年8月29日, 第1条から第6条, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100490230.pdf (Wayback Machineのスナップショット(2024年3月15日)で確認; 2026年の外務省ページから現行版として引き続きリンクされている) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15

  7. 外務省, 令和8年度補習授業校指定の募集, 2026年6月19日, https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/kaigai/kyoiku/hoshukoboshu.html (Wayback Machineのスナップショット(2026年7月10日)) ↩

  8. 文部科学省, 海外で学ぶ日本の子供たち (2026) 施策の紹介(法律の概要、基本方針の概要、教師派遣、教材(2024年度の高等部を含む)、高校生への支援), https://www.mext.go.jp/content/20260515-mxt_kyokoku-100002004_4.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  9. 文部科学省, 2 派遣教員の職務(児童生徒100人以上の補習授業校および準全日制の補習授業校; 職務内容), 2023年12月21日最終更新, 2011年4月15日時点のデータに基づく記述, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/004/003.htm ; および日本人学校・補習授業校への教師派遣の概要, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/004/001.htm ↩ ↩2

  10. 文部科学省, 海外で学ぶ日本の子供たち (2026) 教育活動・参考資料集, データ1から4(データ1は2026年4月1日時点; データ2から4は2025年4月15日時点), https://www.mext.go.jp/content/20260515-mxt_kyokoku-100002004_5.pdf ↩ ↩2 ↩3

  11. 文部科学省, 在外教育に関する施策の概要(教師派遣、補習授業校への支援、1967年度からの教材、補習授業校向け指導資料、AG5に関する記載、教科書、1972年度からの通信教育補助), 2026年10月確認, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/mext_02435.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  12. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES), 在外教育施設教材等整備 (文部科学省補助), 2026年10月確認, https://www.joes.or.jp/zaigai/seibi ↩ ↩2

  13. 文部科学省, 在外教育 Q&A, Q3, Q5, Q7, Q9, Q10, 2026年10月確認, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/004/005.htm ↩ ↩2 ↩3

  14. 文部科学省, 令和8年度海外出国学齢児童生徒用教科書給与要綱, 2026年3月23日総合教育政策局長決定, https://www.mext.go.jp/content/20250509-mxt_kyokoku-100002004_6.pdf (文部科学省「在外教育情報」ページから2026年度の要綱としてリンクされている) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14

  15. 文部科学省, 在外教育施設の高校生への就学支援(2026年度予算資料; 対象は六施設), https://www.mext.go.jp/content/20260408-mxt_shuukyo03-100002595_6.pdf ↩

  16. 外務省, 外務大臣が指定した在外教育施設(補習授業校)一覧, 2024年6月17日作成のPDF, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100490231.pdf (Wayback Machineのキャプチャ(2024年8月8日)、2025年8月30日の再確認時も変更なし) ↩ ↩2 ↩3

  17. 外務省, 世界の学校を見てみよう(world_school; 日本人学校、政府の支援を受ける補習授業校、私立在外教育施設), https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/index.html (Wayback Machineのスナップショット(2025年10月5日)) ↩ ↩2

  18. 文部科学省, 13. 在外日本人子女等への教科書の無償給与(1967年度から; 2023年度の給与対象は約137,000人), 2026年4月2日最終更新, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/gaiyou/04060901/1235100.htm ↩ ↩2

  19. 文部科学省, 令和8年度在外日本人児童生徒用教科書一覧, https://www.mext.go.jp/content/20250509-mxt_kyokoku-100002004_5.pdf ↩

  20. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES、文部科学省の補助を受ける公益財団法人), 日本の教科書の無償配付, 2026年10月確認, https://www.joes.or.jp/kojin/kyokasho ↩

  21. 在サンフランシスコ日本国総領事館, 令和8 (2026) 年度 後期用教科書のお申込みに関するご案内, 2026年4月, https://www.sf.us.emb-japan.go.jp/files/101014424.pdf (Wayback Machineのスナップショット(2026年5月15日)) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  22. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES), 日本の教科書の無償配付 Q&A(Q1からQ27), 2026年10月確認, https://www.joes.or.jp/kojin/kyokasho/faq ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14

  23. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES), 出国前の方(出国前の手続き、一家族あたり¥2,000、2か月ルール), https://www.joes.or.jp/kojin/kyokasho/syukkokumae; およびJOESのお知らせ 教科書配付送料・梱包手数料の改定(2024年4月1日から¥1,800を¥2,000に改定), 2024年2月16日, https://www.joes.or.jp/kojin/kyokasho/detail/53 (2026年10月確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8

  24. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES)のお知らせ: 令和8年度版 小学生用後期分教科書 配付について, 2026年6月10日, https://www.joes.or.jp/kojin/kyokasho/detail/50 ; 新(2027/令和9)年度版 教科書の入荷状況について, 2026年10月2日, https://www.joes.or.jp/kojin/kyokasho/detail/51 ↩ ↩2

  25. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES), 海外に滞在中の方(在外公館経由の教科書追加送付申請), 2026年10月確認, https://www.joes.or.jp/kojin/kyokasho/taizaichu ↩ ↩2 ↩3

  26. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES), 海外子女のための通信教育(コース概要、2026年), https://www.joes.or.jp/kojin/tsushin; 幼児コース・児童書コース(2026年度の受講料), https://www.joes.or.jp/kojin/tsushin/yoji.jidosho (2026年10月確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10

  27. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES), 通信教育 理科・社会コース (文部科学省補助)(第3学年から第9学年)および受講規約, https://www.joes.or.jp/kojin/tsushin/shochu-rs ; https://www.joes.or.jp/cms/joes/pdf/kojin/tsushin/jukokiyaku-risha202003.pdf (2026年10月確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  28. 公益財団法人海外子女教育振興財団(JOES), おすすめの通信教育・教材の紹介(JOESの通信教育受講料は年¥14,760から¥19,680), 2026年10月確認, https://www.joes.or.jp/kojin/tsushin/shokai ↩ ↩2 ↩3

  29. AG5 日本人学校・補習授業校応援サイト, https://ag-5.jp/ およびAG Plus, https://www.ag-5.jp/agplus (2026年10月確認; JOESが運営するプロジェクトサイト) ↩